暴言の本質「子ども・被災者支援法」復興庁の不作為を問うべし!

復興庁参事官がTwitterで暴言を呟いたことによる処分が下されたが、何が問題の本質なのか。彼が施行に責任を負う立場にあった「原発事故子ども・被災者支援法」を巡る政府の不作為こそが問われなければならない。
昨年6月21日に国会で全会一致で成立して丁度一年目の昨日。支援を具体化するための基本法が完全に店晒しとされている事態を問うために開かれた参議院会館の集会に参加した。
正式名「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「支援法」)には、第3条「国の責務」として、「国は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すべき責任並びにこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、前条の基本理念にのっとり、被災者生活支援等施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。 」と謳われ、その「基本理念」を記した第2条では「支援対象地域」に残る場合も避難する場合についても「被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない。 」と明記されているのだが、現状では全くその補償は果たされていない。災害救助法による住宅借り上げ制度が、昨年で新規申請が打ち切られたり、経済的な支援が無い中で、アリバイ的に「除染」された地域に帰らざるを得ないケースもあり、集会では、それでも頑張って小さい子どもを抱えて避難生活を送っている方等からの証言に胸がつまった。
この法律が前に進まない最大の問題は、「支援対象地域」をどこまでと見るかという問題である。
第8条に「国は、支援対象地域(その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域をいう。」とあり、国会の審議では「年間1ミリシーベルト以下を目指す」「福島県は全域含まれる(森雅子自民党議員)」との答弁で解釈されてきたのだが、復興庁はじめ関係省庁が抵抗し、政府による避難指示の基準である「年間20ミリシーベルト」以下をグレーゾーンにして補償の対象を制限しようと支援対象地域の設定を先送りしているのである。
件の参事官のツイート『白黒つけずに曖昧なままにしておくことに関係者が同意した』とはこの事を指していると見られる。
国連人権理事会のアナンド・グローバー氏が、日本政府に放射線防護の厳格化を求める勧告によって、せめても「公衆の被ばくを1ミリシーベルト以下にせよ」と日本政府を厳しく批判し、それが達せられるまで「帰還するか又は避難し続けるか自発的に決定できるように、全ての避難者に金銭的な援助及び給付金を提供し続けるべきである。」と指摘したにもかかわらず、「白黒つけない曖昧なまま」被災者を見殺しにしているのは政府自身である。
復興支援といって流用されていた公共事業の発覚や、原発事故で死者は出ていないと言い放った政調会長の謝罪、そして、復興庁参事官への処分、いずれも詫びた事がいかにも軽く、参議院選挙での公約に国の責任で原発を再稼働する方針を明記した安倍政権。被災者も国民もなめきっている自民党を勝たせてはならない。