下水汚泥焼却灰を巡る陳情否決されるも・・・その後

先の6月10日藤沢市議会・建設委員会で審査された「放射性汚泥及び放射性焼却灰の扱いに関する陳情」(提出者ケント・ダム氏)について、その後の動向含めてお知らせしておく。
陳情自体は残念ながら賛成少数(賛成1反対5)で不了承という結果。委員からは、国が決めた基準なので希釈してコンクリートに混ぜれば安全と理解するとの意見が出され、実証されていないものを独自に取り入れるのは困難との立場が多数を占めた。
陳情者による、実証に乏しいからこそ藤沢市が先駆けて拡散ではない別の方法を試してみようとの提案は受け入れられなかったのだが、行政側は、ケント氏の陳述の中で提案されたプルシアンブルーによる減容化技術による試験について否定的ではなく、どんどん溜め置かれていく放射性焼却灰の扱いに何らかの打開策が必要との立場。
19日になって佐賀ワキ副議長による仲介でケント氏が行政サイドと意見交換する場が持たれ、その様子が公開されているので、紹介しておく。
http://wrs.search.yahoo.co.jp/_ylt=A3aX6FHxucNRpwcBWV2DTwx./SIG=13hnbk2c9/EXP=1371882417/**http%3A//www.facebook.com/takeru.harada.18%23!/kent.jade.5%3Ffref=pb%26hc_location=friends_tab/

(以下は陳情に賛成した原田トモコ市議の陳情に対する討論要旨)
下水汚泥の焼却処理による高濃度放射性焼却灰について、市の「希釈施設」計画が凍結となり、当面、市内に留め置かざるを得ない状況になっているわけですが、セシウム合算で今なお300〜500(?)ベクレル/キログラムの値が出ているものを、セメントの原料として混ぜて10倍程に薄めるとはいえ市場に拡散させるという行為は、人体に対する放射線防護の観点に逆行し、コンクリートに固定され日常的に健康を脅かす危険性が拭えません。当然、震災による倒壊や解体時にはアスベスト同様、危険物質が改めて空中散布されるのです。
このような事態が許されるようになってしまったのは、国が特別措置法によってこれまでのクリアランスレベル(人の健康への影響を無視できる放射性物質の濃度)例えばセシウムで100ベクレル/キログラム、それを上回るものは特別管理が必要としてきたものを、福島第一原発事故以降は、8000ベクレルまで特別な処理・管理をせずに自治体が埋めてもセメント材料に希釈して再利用しても構わないと80倍に基準を緩めてしまったからに他なりません。
これで国は原発事故による汚染処理を自治体に下ろし、セメント業界等の利権を維持することを可能にした一方で、人々の健康や安全を守る従来の立場に背を向けたのです。
ですから、法的に問題が無くなったイコール国が住民にその安全性について合理的な説明が出来るはずがないのです。
だとすれば、セメント会社の搬入拒否による「希釈施設」凍結という今回の事態に、むしろ藤沢市放射性廃棄物を拡散しない、より安全性の高い保管、減容化に向けたモデル都市への転換を目指すべきではないでしょうか。
私も、その道を探るべく、4月に環境省が公募した高レベル放射性廃棄物の除去、減容化、保管などに資する実験データをいくつか国会で見てきました。「効果のあるものもあるがコストがかかり実現は難しい」との環境省職員の説明で一度は落胆したのですが、実は、この公募への入札資格は大手企業に限られ、学閥の推薦などに拠る22社各2千万円もの予算で行われたことが後に判明しました。そして、むしろ中小企業の中で、いくつかの効果を発揮している実証データが存在しており(・・・その一つが、陳情者の説明にあった技術であればなおのこと期待したいのですが)、もっと低廉で簡易なプラントによる減容化、安定管理が可能なのであれば、全国で拡散を続ける汚染焼却灰を止める事に展望が開かれるはずです。
本来、放射線による人体への影響は、距離の二乗に反比例して大きくなるとされ、人々の生活の場からある程度離れた場所で、保管、管理されている限りは安全です。とは言え、減容化によっても限りがある各自治体における保管体制から、最終的には国において管理できる処分場の確保を求め、それまでの間は各自治体での減容化、安定保管への試行錯誤も含めた準備を開始するべきです。