4年目の現実

今なお仮設住宅約8万7千戸に被災者が暮らし、災害公営住宅は予定の15%しか完成していない。そして、震災後に体調悪化や自殺による震災関連死が3194人になるという東日本大震災から4年目の現実。
また、福島県ではいまだ避難者が約12万人。昨年避難指示が解除された地区でも大半が戻らない状態が続いているようだ。

人々の求めるところにお金が使われていないのはなぜか。
国は、震災から5年間を「集中復興期間」と位置づけ、特に2011年から2年間で総額25兆円の復興予算を計上してきたが、会計検査院の調査で13年度末の時点で9兆円が使われていなかったことが判明している。
例えば、福島県への帰還事業255億円の8割が使われていないのは「帰還の大前提となる除染が進んでいない」と県の担当者。また、福島県他の避難指示区域から避難した人たちのための災害公営住宅建設事業313億円は1億円ほどしか使われていなかったのだが、「地権者との交渉や土地の造成など時間がかかる」と県の説明。

一体誰がこの税金の使い道を決めたのか。
そもそも、避難を希望する人たちには国の保障がない。
被災地の復興についても、お金だけでなく行政のマンパワーを集中させることがなぜ出来ないのか。何より、そのお金をどこに使うのが最良なのか現場により近い市町村でなぜ決められないのか。
災害公営住宅をいくら作っても、阪神大震災後の復興住宅で「孤独死」という言葉が使われるようになった事態を繰り返さないためにも、コミュニティ再生を通して地域のセイフティネットとなるよう身近な市町村の取り組みが不可分に求められているのだ。
地震津波から助かっても、これだけ生活が回復しない原因は明らかに政治にあるのではないか。東北の人たちだけの問題ではない。