胃がんをなくすピロリ除菌と子宮頸がんワクチン

29日、藤沢市医師会による市民公開講座で「胃がんで亡くならないために」と題した講演に参加。講師は北海道大学院の浅香正博教授。日本でがんの原因約25%が感染症によるとされ、胃がんの場合は危険因子の約98%がピロリ菌である事から内視鏡による早期診断でピロリ菌を除菌する有効性について全国で訴えている。国に保険適用を世界で初めて認めさせる一方、藤沢市でも今年8月から市が補助金を出す胃がんリスク(ABC)検診や、若者へのピロリ菌検査(陽性者の除菌)等については、鈍い厚労省を待たずに自治体個別に実施の必要性を説いて回っているのである。この取り組みによって「胃がんはなくせる」として胃がん対策3千億円の税金削減にも言及。県内での検診実施率最低水準の藤沢市がどのように変化していくのか注目したい。
一方、子宮頸がんも、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染症であり、多くの場合が性交渉によっての感染と言われる。この子宮頸がんワクチン接種が2009年10月承認されて以降、接種による多くの副反応被害が発生しており、政府による勧奨接種は中止されているものの、その原因、ワクチンとの因果関係、補償を国は認めないまま、勧奨再開の動きが見え隠れしている。
先の藤沢市議会では原田トモコ市議などの呼びかけもあり、接種者に対する追っかけのアンケート調査を市がようやく実施。アンケート結果の中間報告が5月24日発表されたのだが、改めて、接種による被害の深刻さが浮き彫りとなっている。
あくまでワクチンありきのがん予防に執着する姿勢は、検診強化による早期診断の重要性が後回しになっていないか。性行為における注意喚起など、リスクを伴わない予防周知を妨げることにもなりかねず、ましてや、この被害実態を無視した勧奨再開は許されない。